最近、抹茶の値段が上がっていると気づいた方も多いのではないでしょうか。スーパーやネットショップで「気づいたら前より高くなっていた」という声が増えています。
健康や美容のために毎日飲んでいたのに、このまま値上がりが続くなら飲み続けられるか心配。そんな気持ちになっている方もいるでしょう。
実は2026年5月、国内の主な茶の問屋38社が業界の団体とともに「緊急共同声明」を出すほど、抹茶の市場は大きな曲がり角を迎えています。値上がりの背景を知らずに選び続けると、お金をかけているのに健康への効果が得られない商品をつかまされるおそれもあります。
この記事では、値上がりの理由と市場の今の様子をわかりやすく説明したうえで、健康・美容への効果をしっかり得ながら賢く選ぶ方法をお伝えします。
読み終えたあとには「どの抹茶を、どんな基準で選べばいいか」が具体的にわかります。値上がりを心配する前に、正しい知識を手に入れましょう。
① 抹茶が値上がりしている3つの理由

なぜ今、抹茶はここまで値上がりしているのでしょうか。一言でいうと、世界規模で需要が一気に増えたのに、作れる量がそれについていけないからです。この問題は短い期間では解決しないとみられており、業界全体が対応を急いでいます。
世界的な「抹茶ブーム」で需要が作れる量を大きく上回っている
結論からいうと、抹茶は今や日本だけでなく世界全体で消費されるスーパーフードになっており、作れる量の増え方が需要に追いつかない状態です。
スターバックスが2008年に抹茶ラテを世界へ広めたことをきっかけに、抹茶は「飲む美容液」として欧米でも一気に人気を集めました。海外から来た観光客が抹茶カフェに長い列を作る光景は、今や国内でも見慣れた風景になっています。
一方、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)は、収穫前に20〜28日間、日光をさえぎって育てる必要があります。茶の木を育てるには数年かかるため、需要が急に増えても作れる量をすぐには増やせません。
需要と作れる量のギャップが縮まらないまま広がり続けているのが、値上がりの根本的な原因です。
碾茶の価格が前の年の2倍以上に上がっている
数字で見ると、碾茶の値上がりは深刻な水準に達しています。
2026年4月に始まった新茶の最初の取引では、最大の産地である鹿児島県の平均価格が前の年より6割も高くなりました。宇治産の一番茶は前の年の2倍以上、秋の碾茶は一時期6倍近い水準で取引されたケースもあります。
業界では「これから5〜10年、少しずつ価格が上がり続ける」という見方が広まっており、老舗のお茶屋さんが売れる数を制限する事態も起きています。
これは一時的な値上がりではなく、日本の茶産業が「令和の米騒動を超える」とも言われるほど大きな変化のさなかにあることを示しています。
中国産の抹茶が増えて市場が混乱している
日本産だけでは増え続ける需要をまかないきれない今、中国産の抹茶が急速に市場へ入ってきています。
価格は日本産の平均3分の1ほどで、世界の抹茶シェアではすでに中国が7割を占めるともいわれています。品質の面でも、日本産の中くらいのグレードに引けをとらないものが出てきました。
問題は、品質の基準があいまいなまま「宇治産」などと表示された商品が出回るリスクです。これが、問屋38社が緊急声明を出した大きな理由のひとつです。
産地や作り方の表示をきちんと確認しないと、値段だけ高くて健康への効果が薄い商品を買ってしまうことがあります。
② 値上がりしても抹茶を飲み続ける意味はあるのか

値上がりが続くなら、コーヒーやほかのハーブティーに切り替えた方がいいのでしょうか。結論からいうと、健康・美容を目的にするなら、抹茶を続ける意味は十分にあります。その理由は、抹茶ならではの栄養のとり方の仕組みにあります。
抹茶の健康・美容への効果は「茶葉をまるごと飲む」ことで得られる
抹茶が普通の緑茶と根本的に違うのは、茶葉を粉にしてお湯に溶かすため、栄養素を茶葉ごとぜんぶ体にとり込めるという点です。
急須でいれる緑茶は、出た液だけを飲むので、茶葉に残った栄養の多くがそのまま捨てられます。抹茶なら茶葉に入っているすべての成分を体にとり込むことができます。
抹茶に豊富なカテキンは強い抗酸化の力を持ち、肌の老化の原因になる活性酸素を抑えます。ビタミンCはシミ・くすみを防ぐのに役立ち、テアニンはリラックスしながら集中力を保つのをサポートしてくれます。
「飲む美容液」と呼ばれる理由は、この茶葉まるごと飲める仕組みにこそあります。
1日1杯の継続が、美容・健康への効果を引き出すカギ
抹茶の効果は「たまに飲む」より「毎日続ける」ことで引き出されます。
2024年にPLOS ONEに載った研究では、1日2gの抹茶を12か月間飲み続けた高齢者の認知機能が改善されたと報告されました。毎日少量を飲み続けることが、体への働きかけを積み重ねるうえで大切です。
値上がりした今だからこそ、高いものを大量にまとめ買いするより、無理なく毎日続けられる量と選び方を考える方がよいでしょう。
続けられる習慣をつくることが、健康への効果を実感するための一番の近道です。
③ 健康への効果を損なわない、賢い抹茶の選び方

値上がりが続く中でも、正しい選び方を知っていれば無駄な出費を減らしながら健康への効果をしっかり得られます。ポイントは「使い道・表示・習慣」の3つです。どれかひとつでも意識するだけで、選ぶ基準が変わってきます。
使い道で「そのまま飲む用」と「ラテ・料理用」を使い分ける
「何に使うか」によって、選ぶべき抹茶のグレードはまったく変わります。
そのまま点てて飲む場合は、日光をさえぎって育てた国産の抹茶が風味・栄養ともによい選択です。一方、豆乳ラテやスムージーに混ぜるなら、色・風味が強い製菓用グレードや中くらいのグレードで十分な効果が得られます。
高い抹茶をラテに使っても風味がミルクに消えてしまい、コスパが悪くなります。「点てる用は国産、混ぜる用はコスパ優先」という使い分けが現実的です。
使い道を意識するだけで、毎日の健康習慣を無理なく続けるための費用が大きく下がります。
産地・作り方の表示を確認して品質を見極める
抹茶を選ぶときは、パッケージの表示を3つのポイントで確認するのが基本です。
確認すべきは、①「碾茶使用」の表示があること(原料の品質を示します)、②「遮光栽培」または「被覆栽培」の表示があること、③産地が書かれていること(宇治・鹿児島・西尾など)の3点です。
これらが書かれていない商品は、原料や作り方が不明なことがあります。健康・美容を目的にするなら、成分の表示や農薬の検査情報を公開しているブランドを選ぶとより安心です。
表示を確認する習慣をつけるだけで、品質がわからない商品をつかむリスクをぐっと下げられます。
量より「毎日続けること」を優先する
健康への効果を得るために大切なのは、量よりも「飲み続けること」です。
1杯あたりの目安は2g程度。高い抹茶を月に1回まとめ買いして使いきれずに酸化させるより、手に入りやすい価格帯のものを新鮮なうちに使い切る方が、健康効果の面でも理にかなっています。
開封後は冷凍で保存すると酸化を抑えられます。少量パックを選ぶのも、鮮度を保ちながら続けるためのひとつの工夫です。
無理なく続けられる量と価格帯を選ぶことが、抹茶の健康効果を最大限に引き出す近道です。
まとめ:値上がりを「正しく知って選ぶ」チャンスに

抹茶の値上がりは、世界的なブームと作れる量の不足が重なった問題であり、今後もしばらく続く可能性があります。市場が混乱している今だからこそ、「何を基準に選ぶか」を知っていることが、健康への効果をしっかり得るための差になります。
使い道に合わせた使い分け、産地・作り方の表示確認、そして毎日続ける習慣。この3つを意識するだけで、値上がりが続く中でも賢く抹茶と付き合えるでしょう。
値上がりを嘆くより、選ぶ基準を手に入れる方が、これからの抹茶ライフをずっと豊かにしてくれます。
